番外編)炊飯器について
料理屋さんに配達に行くと当たり前のように炊飯器がある。
ボタンを押すとご飯が出来るアレだ。
しかし、
魔法のように料理を生み出す調理士に唯一といってよいくらい自由にならないブラックボックスである。
調理士にはお店で選ぶ・炊飯コースを選ぶしか自由がない。
んんん・・・
これは結構な問題かもしれないな。
と、いうことで、休日だし、炊飯器についてつらつらと書いてみようと思う。
まず炊飯の理論については、
米・食味鑑定士協会のホームページを読んだ。
工程は、洗米→給水→加熱(炊飯)に分けられる。
炊飯とは米の中のデンプンを粘化、α化させること。
洗米 : 洗いすぎると米が割れるが、古米は脂質が酸化して古米臭がするのでしっかり研ぐ方が良い。
給水 : デンプンのα化にはデンプンの30%の水が必要。洗米後は砕米しやすくなるのですぐに給水を開始する。じっくり時間をかけることでむらなく給水することが出来る。
炊飯 :
温度上昇期 : 水の吸収が激しくなり米が膨張する。この時間が長いとα化したデンプンが水に溶け出て、煮崩れしてしまうので、はやく沸騰させなければならない。
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高級炊飯器は同じ電力でも火力の強いIH(インジェクションヒーター)を持ち、値段に応じてヒーターの数が増える傾向にある。
沸騰期・蒸煮期 : デンプンのα化が進み粘りがうまれる。数分間沸騰を継続させる事が大切。激しく対流させムラなく炊くことも重要。
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連続して沸騰させる事は簡単なのだが、ふきこぼれさせると炊飯器の周りがびちょびちょになるので、従来は間欠沸騰に甘んじてきた。
最近の高級炊飯器では噴きこぼれをさせない仕組みがあり、
連続沸騰させる事が出来る。
ふきこぼれ=おねばの旨みを戻す仕組みもある。
圧力釜方式の炊飯器は密封した中で調理を行うので連続沸騰が簡単に実現でき、沸騰温度を100℃以上にすることも出来る。
お米をムラなく炊き上げるため、内がまの形状には各社の努力が見られる。
底をラウンド形状にしたり、細かいディンプルを入れて部分的な対流も促している。
最高級クラスは複数あるIHの点火タイミングを制御して対流させている。
圧力炊飯器の中には圧力変化で対流させる商品もある。
蒸し期 : 米の周囲に付着した水分が浸透し内部までふっくら炊きあがる。しかし長時間釜を放置すると、蓋の水分が落ちてビチャビチャになってしまう。
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ふたIHは蓋の水分を蒸発させるので上澄みのご飯がびちゃびちゃにならない。ところで昔からふたIHをしてきたメーカーは蓋にヒーターを付けるのと引き換えに圧力釜にすることが出来なかった。現在ではふたIHと圧力釜が共存出来ている。色々と進化している。
圧力炊飯 : 最近圧力炊飯器を採用するメーカー、種類が増えたと思う。吹きこぼれは無いし、簡単に大火力を取り出せたり、炊飯時間を短縮しやすかったり長所は多い。圧力炊飯の弱点は良く言えばもちもちしたご飯が炊けるのだが、悪く言えばゴム毬のような食感になってしまう。
寿司やカレーのようにしゃっきりしたご飯を望むときは圧力を抜いて調理するので長所を発揮しにくいだろう。
IHいっぱいで且つ圧力釜を持つ商品もあるが、稀であるため、IHが複数ある物量投入タイプを買うのか、圧力炊飯器を買うのかは、検討初期段階で選択すべきだと思う。
内がま : 土鍋、本炭釜、南部鉄器など様々な内がまがあり面白いのだが、これは電気炊飯器ならではの涙ぐましい努力だ。IHがいくら優れていたとしても火力ほどのパワーがない。少ない電力を有効活用するアイデアが凄い。
内がまに求めらえることは①熱伝導、②発熱性、③蓄熱性。
それ以外に重要なことは耐久性である。どれが美味しいかは分からないが南部鉄器は硬いが、土鍋は割れる覚悟は要るだろう。
ガス炊飯器 : 火力の話に成ったのでガス炊飯器について触れておく。
ほとんどのガス炊飯器は家庭に置いて欲しくなさそうな無骨な形をしているし、そればかりか選択肢も少ない。
そんななかで唯一?家庭に置けそうなおしゃれな商品の写真を掲載する。
ガス炊飯器は、商品説明を読んでもあまり面白くないのだが、売れないのでやる気がないのか、ガスの火力で力技で炊けちゃうからなのか、どっちなのだろう。
各社、手法は違え、目指す事は同じである。
優劣をつける気はないので、いろいろなメーカーさんの技術を引用するよう心掛けた。
家電製品で炊飯器と洗濯機ほど面白い物はないと思っている(笑)
最後に、
当社では炊飯器は扱っておりません、あしからず<(_ _)>